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チュウ太のウィーン日記


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2000年10月31日 火曜日

さあ、みんなに岡先生からの返事が届いたかな、みんな読んだかな、どんな顔して報告してくれるかなと思ってクラスに行ったところ、学生達は意外にもさめた表情だった。「メールの返事来ていた?」「ええ、先生からでした。」「で?」「返事は遅くなるそうです。」

実は岡先生が中学の授業を受け持っているのは1週間に1回で、しかも今週は校外活動の予定が既に決まっているとのこと、さらに来週も音楽教室があるとかで生徒達に会えるのは11月の14日になってしまうらしい。岡先生はその事情説明も含めて学生達にすぐに返事をくださったのだが、学生達としては自分たちのメールへの直接の返事が欲しかったわけだ。送ったメールに、誰からであろうとまず返事がくればそれはそれで嬉しいだろうと思ったのは甘かった。学生達はそれだけ真剣にあれこれ思いめぐらしながら必死で手紙を書いていたのである。架空の相手ではなく自らの夢や意見を語ってくれた中学生。その実在感が、あの感動的な手紙を生み出していたのだと改めて学生達の思い入れを感じるとともに、つい、思いがけないメールをもらったほうが相手の中学生も喜ぶかななどと考え、日程をきちんと相談せずに授業計画を立てたことを深く反省した。

ただ、授業自体の流れとしては、ちょうどこの間を利用して自分たちの書いた手紙を互いに読みあう時間を持つことができた。中学生の意見文と事前に教材として使う許可を得ることのできた学生数名分の手紙を全員に配布した。まず元となる中学生の意見文を読みそれについてディスカッションする。その後この意見文に対する学生の手紙を読み、どこがいいかを互いにコメントしあうという形で授業を進めた。実は、この友人の書いた文のよいところを見つけるという作業は教師があれこれ一方的にコメントをするよりずっと効果がある。(残念ながらまだ検証はしていないが、各々の学生が非常に刺激を受けるようである。)その後、さらにこの手紙をもっとよくするにはどうしたらいいか互いに考えるという形で各自の手紙をチェックしていくことにした。

このクラスの場合人数が少ない(今日は7名)ということもあり今回と次回の2回をかけて、全員の文章を皆でチェックするつもりである。人数が多い場合には3〜4人でグループを組み、互いの文に対するコメントを書きあう(良い点をまず指摘し、つぎに改良点を提案する)という形ですすめることも可能である。

2人分のチェック作業が終わると残り時間は15分しかなかったが、パソコン室に移動し、岡先生の手紙をチュウ太の辞書ツールを利用して読むことにした。先週休んでいた学生が2名いたため彼らをパソコンの前に座らせ、まずメールを開くことからはじめた。ところが、ここで問題が発生した。開いたメールがみごとに文字化けしているのだ。授業開始の前にこの自習室でメールを読んだ学生は、自分に来たのはきちんと読めたという。また隣でメールを開けていた学生も、「今は文字化けしているけれど、今朝読んだときは化けていませんでした」と言う。どうもその時々のメールサーバーへの経路の関係で文字化けが発生することがあるようだ。文字化けが起きたときは、メニューバーの「表示」の中の「エンコード」で日本語の文字の種類を改めて指示し直す。たいていの場合は「日本語(自動選択)」を選び直せば解決するのだが、今回は「日本語(シフトJIS)」を選択しないと文字化けは直らなかった。

なんとかメールが読める状態になったところでチュウ太の辞書ツールを開きメールをコピー&ペーストして辞書ツールのボタンを押す。今週はじめてこれを見る学生からは「すごい」の声が上がる。「わあ、すごいですね。」と言いながら、あわててチュウ太のURLを書き留めていた。

ところが先週授業に出ていてしかもメールをすでに受け取っていた学生に、チュウ太を使ってみたかと聞くと、「いいえ、使いませんでした。」「どうして。」「ええ、メールを読んだらだいたい意味が分かりましたから。」とのこと。教えた側としては、便利なツールならばすぐにでも使うだろうとつい考えてしまうが、メールが1通来たくらいではわざわざチュウ太を開く必要はない。ネットにつなぎチュウ太を使うようになるには気軽に利用できる環境と慣れが必要だ。また、辞書を引いてでも読みたい、あるいは、正確に読む必要があるという動機付けが必要だ。いくら便利な道具があったところで、ただメールを読むくらいではわざわざそれを使う必要はない!のである。辞書ツールを使わせたいなら、使わせる目的をはっきりさせ、それを使う必然性を作りださなければならない。今日はいろいろと学生達に教えてもらうことの多い1日だった。

☆一言メモ☆

学生は使って意味のある文章にしか、わざわざチュウ太は利用しない。単語の意味をじっくり調べたい文章とはどんな文章かじっくり吟味する必要がある。


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