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2000年12月1日 土曜日
日本語教育国際シンポジウムの報告(静岡大学北村達也)

日本語教育国際シンポジウム「21世紀型総合的日本語教育における語学・文学・ 文化及びメディアのあり方」は2000年11月25、26日に韓国ソウルの同徳女子大 学にて開催されました。

私はこのシンポジウムには日本語教育学会のツアーで参加したのですが、泊まっ たホテルでも日本語だけですんでしまいました。果たして、日本で、こんなに韓国語が通じ るホテルはあるのだろうか、と考えさせられました。

さて、シンポジウムは25日が招待講演、26日が一般講演という日程で行われま した。

25日の招待講演では、まず、水谷修日本語教育学会会長から「国際化時代にお ける外国語教育のあり方」という題目の主題講演が行われました。ここでは、 単に日本語教育という枠にとどまらず、日本や韓国における英語教育、また日 本における韓国語教育についても触れられていました。その後、世界各国・地域における日本語教育の事情について講演がありました。日本、アメリカ、韓国、台湾、中国、ヨーロッパについてそれぞれの地で日本語教育にたずさわっている方々からの報告がありました。

18時からのレセプションでは、韓国で日本語を教えている若い人 たちと話が盛り上がりましたが、ツアー参加者はホテルが会場から遠いことも あって途中退席せざるを得ず、残念な思いが残りました。

次の日は、一般講演です。日本から「読解教材バンク」をCD-ROMにしたものを60枚ぐらい持ってきていましたので、事前にポスターをはって、昼休みに配布する旨をアナウンスして いました。ところが当日に小さなA4のポスターを1枚はっただけだったせいか、人が全然来てくれません。受付の女性に、希望者が来たら配ってくれるようお願いして、発表会場へ移動 しました。発表会場でも「また重たい思いをして持って帰るのか」と気が気で はありませんでした。

発表題目は「読解学習支援システムにおける辞書表示方法の改善」でした。 詳しくは資料(PDF形式)をご参照ください。この他、インターネット で公開可能な日韓辞書さえあれば、単語の訳語を韓国語で提示できることにつ いても説明いたしました。

発表に関して、会場の内外でいくつかの質疑応答を行いました。代表的なものだけ以下に載せます。

Q1:EDR日本語単語辞書の単語出現頻度により並べ替えを行ったところで、 文脈に適した単語の訳語が上位に表示されないのではないか?

A1:その通りである。しかし、単語の訳語を選ぶのは学習者の仕事であり、 その選択作業が読解能力の向上につながると考えている。

Q2:「辞書ツール」では熟語や慣用表現の意味を知ることができないのでは ないか?

A2:確かに、例えば「頭にくる」という表現に関して、「辞書ツール」で「頭」や 「くる」のそれぞれの訳語は調べられても全体の意味は理解できない。目下のところ、チュウ太を使 う場合には、慣用句等については授業で教えて欲しい。辞書ツールで熟語や慣用表現の訳語を提 示するには意味解析技術が必要であり、その分野の研究者との協力が必要である。

発表後に受付に行ったところ、CD-ROM希望者が列をなしていて、しばらくする と全部なくなってしまいました。受付の方に感謝です。ほっと一安心して帰国 の途につきました。このCD-ROMや今回の発表をきっかけにして、韓国でコンピュータを利用 した日本語教育が広がっていってくれればうれしいと思います。


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