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チュウ太のウィーン日記 |
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2001年4月3日 火曜日
4月に入り急に暖かくなり、ここ数日は初夏を思わせる日が続いている。しかも来週からは2週間の復活祭休暇である。学生達も何となく春休み気分で、すでに旅行に出てしまった学生もいるようだ。漢字力をつけるためのトレーニングを続けて行おうと思っているのに、オーストリア勢の出席が思わしくないのはちょっと残念だ。 さて、今日も前回に引き続き漢字力アップをねらうクイズを用意した。今回のクイズは次の通り。
前回の1.の仲間さがしのバリエーションとして2.「仲間はずれ」をさがす問題を作成し、どちらが学生にとってやりやすいのか試してみたところ、2.の方がずっと簡単にわかるようである。今後こうした問題を作る際には、まずは2.の形で練習させた後に1.にする方がよさそうだ。 とはいえ前回参加していた学生は嬉しそうに1.の問題もどんどん解いていく。こうした問題は漢字の何に着目したらいいかちょっとしたコツさえわかれば簡単にできるようになるようだ。だとするとこのトレーニングは数回やりさえすればそれなりの成果をもたらすと言えそうだ。一方、今回初めての学生には個別指導で前回のプリントを用いて考え方を示し今回のプリントに挑戦させた。 また、今回の3.の問題は「入」が前後につく熟語を出題したのだが、皆それぞれに悩みつつも左右を見比べて挑戦している。一通り全員がやり終えた時点で答え合わせをしたところ、前回同様、ほとんどの問題を全員が正しく解答していた。動詞「入る」に対して「どのような入り方をするか」についての説明は前につくことが多く、「どこに入るか」についてはすべて後につくということを確認して答え合わせを終えた。 その後別の漢字(今回は純粋に動詞としてのみ用いられる漢字「帰」「来」)を使って次々と漢字熟語を作っていくというトレーニングを行った。こんな時、日本語母語話者がいてくれるのは役に立つ。次々と出てくる漢字熟語の意味を日本語学習者があてていくという形である。次回のクイズでは意味から熟語を作らせるという形の問題を出してみたい。もちろん新しい熟語を見て意味を判断するというのが最後の目標である。 授業の後半は前回提出のあった意見文を互いにチェックしあった。各自の意見文を複数枚コピーし次々と友人の意見文を読んでコメントするという形である。コメント方法も前学期と同様、「いいところ」「直すともっと良くなるところ」の両方をコメントするようにと指示した。日本語母語話者の学生の一人はオーストリア人学生の意見文を文法も含めてかなり詳しくチェックしてくれていた。ウィーン大学のように前学期も履修した学生と今学期からの学生とが混在するクラス編成となる場合、以前の学生達には繰り返しだと思わせないように、しかも新しい学生達も十分に理解できるように授業をすすめる必要があり、かなり気を遣う。とは言え学生達もそのあたりは心得たもので、こちらの説明が足りないときは前学期からの学生がそれなりに補ってくれたりする。今回もコメントの仕方の説明をできるだけ簡略にすませてしまったところ、言葉の足りない部分は彼らが補ってくれていた。 授業の最後に次回の教材として日本人学生K君の書いた意見文を配布した。1200字という大作である。使われている用語も難しいので、これを初見で読むことは難しいと判断し、改めてメールでも各自に送るのでチュウ太を使って予習してくるようにと指示した。こうした作業が指示できるのは全員が自分のアドレスを持っていて、自分のパソコンで日本語が読めない学生も大学の自習室に行けば読めるという環境が整っているからである。だがウィーン大学の日本語学科がこうなったのも新しい建物に移った1999年度からにすぎない。世界各地の日本語を教えているそれぞれの機関のインターネット環境は大きく異なっているとは思うが、現在の世界規模の情報化の進み具合を考えた時、外国語教育におけるインターネットの利用は必要不可欠になりつつあるし、こうした環境を整える価値は高いと思う。是非多くの機関でせめて数台でもいいから学習言語のサイトを学習者が自由に見られる環境が整ったらと願わずにはいられない。 今日の授業にはまだチュウ太の辞書ツールを使ったことのない学生が出席していたので、授業後は自習室に直行しチュウ太の辞書ツール講習会を行った。授業はこれでおしまいと言ったにもかかわらず、すでに辞書ツールを使ったことのある学生もぞろぞろとついてきたので、彼らにはとっておきの便利な辞書ツールの利用法を伝授した。 チュウ太の学習履歴管理機能を知っている方はご存じの通り、辞書ツールで未知の語彙を次々とクリックしたあとでリストボタンを押すと学習単語のリストが出てくる。このリストを利用すれば今学習したばかりの単語をその場で復習できるわけだが、今回教えたのは、この単語リスト自体をコピー&ペーストして再びチュウ太の辞書ツールにかけるという方法である。これによって各自にとって必要な辞書情報のみが並んだリストが手にはいるというわけである。このリストを保存することも印刷することも可能である。もっとも、語彙学習や漢字学習の効果という点から考えたら、単語リストを印刷させこれに自分で読みや意味を転記させたほうがいいかもしれない。ただウィーン大学のコンピュータ環境の現状、学習室のコンピュータをずっと占有できるわけではないという状況を考えた場合、こうしたテクニックを教えておいてもよかろうと考えた。学生達が喜んだことは言うまでもない。皆様も是非一度お試しを。 ☆一言メモ☆
チュウ太の辞書ツールのおいしい使い方:学習履歴管理機能による学習単語リストをコピー&ペースとして再び辞書ツールにかけると、各自の必要な辞書情報のみが並んだリストが手にはいる。
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